夜長姫と耳男

 先週あたりが“今だけ”な状況だったはずが、まだそこから抜けきっていない様子の職場(というかボス)の「気」に絡め取られ、深手を負いつつ退勤。打刻する機械(なんていうんだろうあれは)が故障中だった。そんな冴えないアルバイターは、例によってお茶の水へと向かったのでした。

黒と赤ではなく、イチョウ色を基調としている方の店で探し物を。今日はフェアポート・コンベンションを見つけ出したい心持だったけど、目当てのアルバムは不在。ちょうどFの向かい側あたりにあったLのゾーンから“Ⅲ”を選んだ。決め手は、紙ジャケがなにやら珍しい作りだったこと。

このアルバムが出た時、僕は非常に失望したのをよく憶えている。ファーストとセカンドをほとんど中毒のように聞き続け、それがないと禁断症状を起こすようにさえなっていた高校生、きっと全世界に何百何万人といただろう。そういう高校生の1人だった僕にとって、このサード・アルバムの内容は余りに軟弱に思えた。

70年の10月、世に登場したこのアルバムへの、86年12月の渋谷さんによるライナーノーツ。ラストから2曲目を聴きながらそれを書き写す06年12月。
声がどうしても“ブルース風”じゃないけど、ギターがすごくかっこいいブルースを聴いた気分にさせてくれる(これはラストの曲のこと)。