自由な午後のすごし方

 スズメに襲われたことがあるんだ、と言ってもあまり本気にしてもらえないのだが、そこで諦めずに、駅に住みつくハトの「対ヒトセンサー」がほぼ無反応なことを引き合いに出すと、どうにか納得してもらえる。冒頭の「スズメ」は、通っている大学のキャンパスに生息する一群を指す。もう何ヶ月も前のこと、屋外のベンチでパンを食べていたら、一度欠片を放ったが最後、さっきまでは気配すらなかった二羽目三羽目が現れ、目の前で羽ばたいた。それにぎょっとしてパンを口に運ぶ手も止まったままでいると、そのうちの一羽が膝にのってきたのだ。昆虫に怯える自分を客観的に意識する際には、「ハハ…自分のほうが何百、いや何万倍も大きいのに…」という自嘲めいた気分を味わうこともしばしばだ。同様に、スズメが膝に飛び乗ったくらいで…と冷静にたしなめる自分の声も無いわけではないが、あのときの好戦的な羽ばたきと、右膝に残った感覚はやっぱり忘れられない。どうして今晩こんなことを書いているかというと、日中、公園を縄張りとする恰幅の良いハトたちに囲まれて怖かったからだ。
 美術館にでも入るつもりがどうも今日はそのチケット代をすんなり出す気分になれず、シンプルに散策だけして帰路に着くはずだったが、古本屋でちょうどチケット一枚分位の買い物をした。満足。